公開講座「アートが社会を変える:医療現場の建築と芸術」

d0246751_222932.jpg 2月21日の部会は、札幌の美術史家 ブルース・ダーリング先生(Bruce DARLING Ph.D. アートミーツケア学会理事)を講師にお迎えして、一般公開講座を開催しました。

会場には、札幌の建築家、ギャラリー関係者、美術作家など、アートと医療と建築に関心を持つ大勢のお客様がいらして下さいました。

ブルース先生は、ロチェスター大学、早稲田大学、、ミシガン大学等を修了、
九州保険福祉大学教授ほか、延岡市景観都市審議会委員などを歴任され、
ウィリアム・モリスの業績についてや、シルクロード学研究のお仕事もあります。

ダーリング先生のお話は、映画「パッチ・アダムス」で有名なクリニクラウン(臨床道化師)の紹介から始まりました。
クリニクラウンは、入院生活を送る子どもの病室を定期的に訪問し、遊びや関わり(コミュニケーション)を通して、子どもたちの成長をサポートし、笑顔を育む道化師のこと。
日本でも、九州医科大学ほか実践例があるそうです。

そして、お話は、先生がスウェーデンのヴィーダル・クリニーケン病院を訪問された時のことへ。
  ヴィーダル・クリニーケン病院
  http://www.vidarkliniken.org/

  ※ 参考資料 「スウェーデン見聞録、私がシュタイナー病院で学んだこと」 服部友香
    『体験医療マガジン Lattice』(2002年1月1日) vol.1号 掲載
    http://namajohogehoge.heteml.jp/backnumber/vol1.html

この病院は、スウェーデン・ストックホルム市から約50kmのヤーナ市にあります。
北欧で唯一、ルドルフ・シュタイナーの人知学医学に基づく病院で、 アートとデザインで患者さんの心と身体の均衡を取り戻す手助けをしているそう。

建物の構造自体も、木材を豊富に使い、曲線やカーブを取り入れて作られた美しい空間です。

人智学医療には、薬剤などを中心としたものと、「芸術治療」とがあるそう。
なじみのない言葉ですが、芸術治療には、
オイリュトミー(舞踊)や音楽、絵画、線描、彫塑などがあり、先生は訪問時のスライド写真を投影しながら次々に、その意図や効果について説明して下さいました。

建築がそこに住まう人の心身の状態に深く関わっていること、深く納得させられました。

お話は続いて日本の事例へ。
日本の病院にアートを導入している事例として、大阪に拠点をおくNPO法人アーツプロジェクトの活動を紹介されました。
  NPO法人アーツプロジェクト
  http://www.arts-project.com/

このNPO法人は、アートの力をもって、病院などの医療環境をより快適な癒しの空間とすることを目的に活動しているそう。
小児がベッドで搬送されていくとき、眼に入るであろう天井に森の絵が描かれていたり、
廊下の壁に池や緑の絵が描かれているなど、スライドで幾つも事例を見せていただきました。
アーティストの協力を得たり、芸術大学と協働したりして、作業を行ってきたそうです。

来場者は、それぞれメモをとったりしながら、熱心にお話に聞き入っていました。

最後に質疑応答の時間がもたれ、それでも聞き足りない方々が、講座終了後もダーリング先生と話しこむ姿が。

ダーリング先生、ご来場の皆様、本当にありがとうございました。


※ ご参考
 ブルース先生の論文 「癒しの建築の可能性 : ヴィダール・クリニーケンを事例として」 などは
 CiNii論文検索のサイトで、PDFファイルで読めます。
 
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by oyoyosapporoart | 2012-03-11 18:49 | レクチャー


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